CCPMとスループット会計

毎年、訪問しているクライアントに、ISOをマネジメントシステムとして経営に活かしている企業がいくつかあります。本来それが目的なので当たり前の話なのですが、なかなか効果を上げている事例は少ないのも現実です。その中でもプロアクティブな改善活動として目を引いたのが、CCPM(Critical Chain Project Management)とスループット会計です。
CCPMとは、期間短縮を図るためのプロジェクト管理手法の1つで、工程表の作り方を変更し、締め切りを守る意欲を引き出すための手法です。TOC(制約条件の理論)の創始者であるエリヤフ・ゴールドラット博士は、そうした心理的な問題を回避できるプロジェクト管理手法を考案しました。それが、CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)なのです。
CCPMでは、プロジェクトの優先順位を整理して、参加メンバーができるだけ1つの仕事に全力集中できるよう工程を組みます。このためにプロジェクトリーダーは、各々のプロジェクトの目的と優先順位をきちんと明確にしなければなりません。さらに、各工程の締め切り設定のやり方を変えます。その結果、2週間ずつに縮まったとすれば、余った3週間をまとめて「プロジェクト・バッファー」として管理します。
プロジェクトリーダーは、各工程の担当者が2週間の締め切りを守れなくても現場を責めたりしません。全体の進ちょくがプロジェクト・バッファーにどれだけ食い込んできたかを管理します。早く終わった工程はすぐ終了宣言を出してもらい担当者を休ませるなどインセンティブを与えます。
スループット会計とは、同じくTOC(制約条件の理論)を考案したエリヤフ・ゴールドラット博士が、「原価計算は、生産性の最大の敵である」と主張して生まれた、キャッシュフローを最大化する意思決定に適した会計手法のことです。
スループット会計とは、キャッシュを生み出す速度に着眼した会計手法です。これに対して、従来の原価計算では「キャッシュを生むスピード」という概念がありません。売り上げが不調でも、生産現場が稼働率を上げれば、製品1個当たりの固定費の配賦額が減るので原価が減り、利益拡大に貢献するとの錯覚に陥るのです。
マネジメントシステムがIT経営へと範囲を拡げて、本来の企業活動の目的である利益を追求していくのです。儲かるISOの基本的な考え方ですね!

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