ISO/IEC20000-1:2011英和対訳版との相違点
ISO/IEC20000-1:2011がJIS化され、JIS Q 20000-1:2007が発行されました。この規格は、ITSMS適合性評価制度において審査基準として用いられているもので、今後、新JISでの審査へと移行されます。原則として、ISOをJIS化する場合は、ISOとの一致が求められるため、翻訳に大きな差はありませんが、訳語や文章表現の相違や、JISのみに追加された注記などがいくつか見られます。
■主な訳語の相違点
○other parties
ISO「第三者」>JIS「他の関係者」
・4.2のタイトル「Governance of processes operated by other parties」の訳にも影響しています。
・意味合いを考慮し、訳語が変更されたようです。
○documentation management
ISO「ドキュメンテーション・マネジメント」>JIS「文書の運用管理」
・4.2のタイトルの訳にも影響しています。
・ISO9001や27001との整合が重視されたようです。
○business relationship management
ISO「顧客関係管理」>JIS「事業関係管理」
・7.1のタイトルの訳にも影響しています。
・旧JISでも「顧客関係管理」でしたが、ITILでは「事業関係管理」と訳され、定着していると判断されたようです。
○top management
ISO「経営陣」>JIS「トップマネジメント」
・JIS Q 9000との整合が重視されたようです。
○catalogue of services
ISO「サービスの目録」>JIS「サービスカタログ」
・JIS Q 20000-2:2007では既に「サービスカタログ」と訳されており、一般に定着していると判断されたようです。
■JISのみの注記の追加
0.2 サービスマネジメントシステム要求事項
「この規格におけるサービスとは、情報技術サービスを意味する。」
・規格の中では「サービス」「サービスマネジメントシステム」という言葉が登場しますが、この「サービス」とは「ITサービス」のことである、ということが明記されました。
3.11 情報セキュリティ
「対応国際規格の“accessibility”に対して“アクセス性”の訳語を当てたが、これはJIS Q 27001:2006の“information security”の定義に用いられている“availability”と同じ意味である。」
・27001(27002)では、「情報セキュリティ」は「情報の機密性、完全性及び可用性を維持すること」と定義されていますが、「可用性」について20000では別途定義しているため、「アクセス性」という言葉に置き換えられたため、このような注記が加えられました。
以上の様にさほど注意は必要ないかと思われますね。