ものづくりの原点
相次いで、日本の経営者がお亡くなりになりました。経済大国ニッポンを築き上げたトヨタ自動車の豊田英二氏と任天堂の山内溥氏です。自動車とゲーム機とで分野は違いますが、日本を代表する技術を集結した製品を世界に発信したことでは、一致する活躍だと思います。
トヨタ自動車の最高顧問で社長、会長を歴任し、トヨタを世界有数の自動車メーカーに育て上げた豊田英二氏は、トヨタグループの創始者・豊田佐吉の甥にあたり、大正2年に現在の名古屋市で生まれました。昭和42年から15年間にわたって社長を務め、この間に、徹底した生産効率を追求したいわゆるトヨタ式生産方式を確立しました。
任天堂を世界的なテレビゲームメーカーに押し上げた相談役で前社長の山内溥氏は、昭和58(1983)年に家庭用テレビゲーム機「ファミリーコンピュータ」を発売し、ファミコンの愛称で親しまれ、日本中にブームを巻き起こしました。ファミコンの後も携帯型ゲーム「ゲームボーイ」など新商品を次々開発し、それまで花札、カードゲームのメーカーだった任天堂を世界的なゲームメーカーに育て上げました。
ものづくりを原点として、現場主義で事業を拡大してこられました。過去に、「今の経営者は現場を見ずに、財務データばかりみて判断している」と言われたことを思い出します。また、産業の空洞化によって経済危機に陥ることを一番に懸念されていた様にも伺えます。
けして、マネーゲームに躍らされることなく、ものづくりを通じて社会に貢献する!これが企業の使命だと再認識した出来事でした。